【今週のお話 003】さよなら松本零士先生
▼マンガ家の松本零士先生が亡くなった。これは僕ら世代にとってはかなりショッキングなできごとである。先生が亡くなるその前日に僕は先生の描くドクロがイメージとして浮かんでその意匠を真似たドクロを使って工作を1つしている。虫の知らせとはこのことか。
上の画像はその先生が亡くなったというニュースを聞いて僕が書いた先生への追悼文…というとおこがましいけど、書いたもの。先生のマンガには本当にたくさんのことを教わったと思う。生き様、死に様、勇気、友情、愛と別れ、涙、努力、あきらめ、絶望、そこそこの幸せ。大切なことはかなり松本マンガから吸収した。
僕が松本零士先生のマンガにどっぷりと浸かったのは遅くて『銀河鉄道999』からだ。アニメになる前から読み始めた。僕はマンガは雑誌では読まないのでコミックスで追いかけた。物語冒頭、カッコイイ銀河超特急がメガロポリス東京に降りてくる。これが999号かと思ったらこれは776号。999号が蒸気機関車型だと知ってビックリした。アニメが始まったのはコミックスが4巻ぐらい出たころだったろうか。
始まったアニメは鉄郎もメーテルも車掌さんも知ってる声優さんだけどこれ以上にない絶妙なキャスティングに感動した。アニメも原作のマンガもそれから長く長く続いた。999は先生の作品のすべてが詰まっている。四畳半ものも美女もSFも。だからやっぱり999が好きだ。
しかし基本のストーリーは映画版で先に完結してしまったので僕はそれで満足し、コミックスは最終巻の一歩手前、10巻ぐらいで失速リタイヤしてしまった。あんなに好きだったのに。だから原作がどういう終わり方をしたのか知らずに何十年も過ごした。
999はリタイヤしたのだけれど、他の作品は他にも読んでいる。『ガンフロンティア』や『セクサロイド』、FM雑誌『FMレコパル』に連載の音楽漫画『不滅のアレグレット』など。しかし、今も手元に残っているのは『トラジマのミーめ』だけ。しかもこの本は読むと絶対泣いてしまうので読めない。
999の映画版が公開されたのは中学三年生のころかな。実は映画版は劇場では観ていない。一人で映画に行くという習慣もなかったし、僕は映画版は公開後すぐに発売されたフィルムコミックス全4巻で読んだ。フィルムコミックスって999が最初だったんじゃないかな。映画の画面をマンガのコマ割りに構成しなおしたもの。フルカラーだった。4冊揃えると映画に行くよりも高くついたかもしれないが、当時はビデオもなくて、手元で何度も楽しめるフィルムコミックスにしたのだった。メインの声優さんの声は頭に入っているしね。のちにテレビ放映されたときに初めて観た。あと集英社コバルト文庫から出ていた若桜木虔さんが手掛けたノベライズも読んだ。このノベライズ、映画版のストーリーに加え、ハーロックとトチローの物語やエメラルダスのエピソードをそれぞれの作品からチョイスして、大松本ワールドを999のストーリーを軸に絶妙に一つにまとめてある。人物関係がよくわかるしとても良かった。この本は数年前に再度入手して再読したので今も大事にしている。
『宇宙戦艦ヤマト』もそうだし『宇宙海賊キャプテンハーロック』も『ダンガードA』も、結局は松本零士先生のマンガとしてコミックスでは最後まで描かれてない。おそらく『クイーンエメラルダス』もだと思う。あれだけ人気の作品だったのにどうして最後までコミックスが出ないのかなぁと残念に思っていた。先生がアニメの企画、イベントのプロデュースなどで忙しすぎて執筆の時間がなかったのかもしれない。
だが後に知ったのだけど999はちゃんと完結しているらしい。というわけで、無性に読みたくなった。ありがたいことに全12巻の文庫版があるというので入手した。すると続編まであるというのだ。これも読みたいなぁ。というわけでこちらも入手した。ついでにkindleの電子本で『宇宙海賊キャプテンハーロック』全5巻と『ハーロック&トチロー』『3000年の春』も入手しておいた。実は他にも気になっている作品があるのだけど、それはいっぺんに買わないでぼちぼちと読んでいくことにしよう。でもやっぱり収納場所の問題があるので電子本で読んでいくことが多くなるだろうな。
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