『八つ墓村』横溝正史マイブーム①
▼何十年ぶりかで僕に“横溝正史マイブーム”がやってきたのです。前から読み直したいなと思っていたのですが、kindleで金田一耕助が登場する長辺の22冊合本があったのでエイヤッと清水のステージからバンジージャンプする気持ちでそれを買いました。それだけでなく、Amazon Primeビデオで検索すると毎日放送で昔やっていた「横溝正史シリーズ」というドラマの何本かが無料で観ることができるので『八つ墓村』から観始めました。このドラマは中学生のころ、夢中になって観ていました。もちろん原作を角川文庫で読んでいましたし。
ドラマの主な出演者は、金田一耕助/古谷一行、日和警部/長門勇、寺田辰也/荻島真一、美也子/鰐淵晴子、春代/松尾嘉代、多治見要蔵/中村敦夫、他に、草薙幸二郎さん(里村慎太郎)なんかも出てます。
映画の石坂浩二さんの金田一耕助も大好きですが、テレビの古谷一行さんの金田一が一番好きかもしれません。石坂さんは『八つ墓村』は演ってないんですよね。
さて、シリーズ構成として警察側にレギュラーをということで、磯川警部、橘署長とか等々力警部ではなく、横溝正史シリーズではドラマオリジナルで日和警部を登場させています。横溝作品が岡山県と兵庫県の県境の村辺りが舞台になることが多く、岡山弁が話せる長門勇さんがとてもいい感じで演じてらっしゃいます。
ドラマと同時に原作も再読しました。映像化するにあたっては原作と差異が出てきます。これを批判するむきもあるようですが、僕はそこも大きな楽しみのひとつです。映像化しにくい部分をどう工夫するのか。長い原作を限られた話数でどうまとめるのかなど見所ですよね。
『八つ墓村』も特に後半が大胆にアレンジされています。また何人かの登場人物が省略されていたり、まとめられていたりします。でもこの横溝正史シリーズに限って言えば、その脚色も実に横溝ワールド的です。作品世界を壊さない十分な配慮がなされています。
多治見家の親戚で屋敷に同居している、里村慎太郎と里村典子の兄妹は原作ではメインキャラですが、ドラマでは慎太郎は殺されてしまいますし、典子に至っては登場しません。原作ではヒロインの一人でもあるのに。ちょっと残念です。ただ典子のエピソードを含めようとするとあと2話ぐらい足さないとダメだったでしょうね。
春代も原作よりは目立ちません。原作ではもっと出番は多いのになぁ。目立ちませんが松尾嘉代さんが観られるだけで僕は満足ですけどね。
辰也は美也子、春代、典子とモテモテなんです原作では。でもドラマでは美也子、そして春代はラストまで表に感情を出しませんのでわかりません。最後だけちょっと。だからモテモテ感は少なめですね。せっかく荻島真一さんなのに。でもストーリーが盛りだくさんだからしょうがありません。
このお話、戦国時代の因縁から、二十数年前の大量殺人から、すごく人が死にます(笑) でも二十数年前の事件は実際にあった事件をヒントにしているそうです。(津山三十人殺し)
その犯人で事件後失踪する、多治見要蔵は頭に懐中電灯を鬼の角のようにくくりつけ、猟銃と日本刀を持って村中を襲う有名なやつですね。映画の山崎努さんのイメージが強いですが(figmaの可動フィギュアも山崎さんがモデル)ドラマでは中村敦夫さんが喜々として演じてらっしゃいます。鬼気としてかな(笑) 盆踊りの夜を襲うという大胆なアレンジです。
そして今起こる連続殺人事件は…。有名な物語ですが一応ネタバレになるのでやめておきましょう。ただ一言だけ言っておくと、原作とドラマではかなり違うラストになります。原作のちょっぴりハッピーエンドとは違い、ドラマはドラマのスリラー的要素が膨らませてあって趣深いです。
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