うずまきシネマ

箱買い/伊丹十三DVDコレクション#1

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ただ今ワタクシは伊丹十三ブームがまたやってきて、本を読んだりしていたのですが(読んでいるのは『マルサの女日記』と『ヨーロッパ退屈日記』。この『ヨーロッパ〜』は実に19年ぶりの再読です。初めて買った伊丹さんの本だったと思う)、このたび『伊丹十三DVDコレクション たたかうオンナBOX』を買ってしまったのであります。発売されてずいぶん経っているので今ごろblogに書いたとてなんの新鮮みもないのですが、まあ、マイブームを記録するという意味で書いておきます。
 実は前に『ガンバルみんなBOX』の方は入手済みでした。こっちはどっちかというと伊丹作品の中でもマイナー系だったので、おそらくすぐに入手こんなんになるだろうと考えて先に箱買いしたわけです。ガンバルに収録の映画は『お葬式』『タンポポ』『あげまん』『大病人』『静かな生活』『伊丹十三の「タンポポ」撮影日記』『[あげまん]可愛い女の演出術』『大病人の大現場』の8本。この中で見たことないのは『静かな生活』だけ。買ってからまだ残してあります。楽しみに。
 そして、今回入手したのは『マルサの女』『マルサの女2』『ミンボーの女』『スーパーの女』『マルタイの女』『マルサの女をマルサする』『マルサの女2をマルサする』『ミンボーなんて怖くない』の8本。こちらも見てないのが1本あります。『マルタイの女』です。これはなんとなく伊丹監督が亡くなったのがショックで見る機会をうしなってしまっていたものです。『ミンボーなんて怖くない』も見ていなかったのですが、これは本日見ました。やはりおもしろいですね。伊丹映画の場合、メイキングがオマケという感じではなくて見応えがあるのです。僕の場合、拾い見も含めると本編よりも伊丹映画のメイキングの方が見ている回数が多くなると思います。
 さて、このボックスですが、ボックスの中に映画のフィルム缶の積み上げたようなケースが入っていてこれにDVDのディスクが納められています。プラスチック製で、全部つながっているので、このケースが実に使いにくい(^ε^;)。まあ使いにくいんですが、面白い企画ではあると思います。ヒッチコック監督がこういう缶を並べて写真を撮っていたような記憶があります。
 このボックスには40ページフルカラーのブックレットも付いていてお得です。宮本信子インタビューやロケ地訪問なんかもあって読み応え充分です。
 こっちの作品はバラで買い集めようと思っていたんですが、最近こっちの方が入手しにくくなっていることがわかって、特にメイキングの『ミンボーなんて怖くない』が品薄のようなので、思い切って箱買いしてしまったんです。安く入手できたし。これで伊丹映画は全作品いつでも見ることができるようになりました。うれしいなぁ。
 伊丹映画は、情報量が非常に多いので、映画のストーリーを楽しむほかにもいろいろな見方ができますから、何度でも楽しめますね。

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『めまい/Vertigo』

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サンテレビの『ドリームシアター』という映画番組でアルフレッド・ヒッチコック監督の『めまい』が放映された。この番組なんと日曜のゴールデンタイムに3時間枠という贅沢な時間取りで放送されている。つまりコマーシャルが入ってもほとんどノーカットだということだ。これはうれしい。録画しておいてゆっくりと観た。
 1958年といえば、僕はまだ生まれていない。素敵な街並み。そして魅力的なデザインの自動車。今はどこを探してもなくなってしまったモダンな雰囲気。こんな時代にアメリカに行ってみたかったなぁ。
 主演は僕の好きなジェームズ・スチュワート。この映画の予備知識としては、「めまい」効果の演出に、トラックアップ(カメラを被写体に近づけていく)しながら、ズームアウト(レンズを望遠側から広角側へズーミングする)する手法を使っているとか、360度キスシーンとか、撮影方法のことぐらいで、ストーリーに関しては全く知らなかった。というよりも知らないように努力していたのだ。トラックアップしながらズームアウトは大林宣彦監督の『時をかける少女』ほか、様々な映画で応用されている。人物の後ろで背景だけが急に広がっていくようなあの撮り方。360度キスシーンは、ジェームズ・スチュワートとキム・ノヴァクがキスをするのをカメラがぐるぐると回り込んで撮っていく。ということは、スタジオセット内で照明さんや録音係などスタッフはカメラの移動と共に写らないようにカメラの背面にぞろぞろと全員が大慌てで回り込んで逃げなくてはいけない、観るとわからないけどとんでもなく撮影が大変な撮影方法なのだ。セットも部屋の四面の全部を作り込まなくてはいけないし。でもこの撮り方のおかげで、キスをしているだけなのだけど、それがとんでもなくエッチな気分を盛り上げてくれる。エッチな気分を演出する上品で効果的な手法だ。とにかくヒッチコックはストーリーでも、映画のカメラワークでもいつも意欲的に新しいことを考えてどんどん使っていく人なのだなぁ。
 さて、話を映画の中身に戻そう。スチール写真から受ける印象とは全く違うストーリーだったし、一番の驚きはキム・ノヴァクだ。強く描いた眉と睨んだような顔の写真が印象的で、きっとかなり強烈な灰汁を持った女性なのではないかと思って、それだけでなかなか見る気が起きなかったのだ。でも観てその評価は180度変わった。キム・ノヴァクはこの映画では前半のマデリーンの時もかなりハッキリと描きましたという眉なのだけど、特に後半のジュディになってからはきついメイクだ。くっきり、ぶっとく、力強く跳ね上がった眉になる。けれど、表情から読み取る彼女の顔は、とても上品でやっぱりヒッチコック好みの女優であることがわかる。元々この映画はヴェラ・マイルズを使う予定だったらしいが、ヴェラが結婚して妊娠したため、急遽キム・ノヴァクに変わったのだという。けれどそれが成功だったと思う。興行的には大ヒットではなく、赤字が出ない程度だったらしいが、僕の評価はかなり上位にランクされる映画だ。そしてキム・ノヴァクがとても素敵なのだ。
 ヒッチコック好きとして知られるデイビッド・リンチ監督のテレビドラマ『ツイン・ピークス』でも殺されるブロンドのローラという女の子とローラとそっくりで髪の毛が焦げちゃの従姉妹が登場する。その従姉妹の名前は「マデリーン・ファーガソン」。『めまい』でキム・ノヴァクが演じたブロンドの女性の役名「マデリーン」。そしてジェームズ・スチュワートの役名「スコッティ・ファーガソン」。この二人から取られているのは明白である。
 ジェームズ・スチュワートが演じるスコッティは、ヒッチコック自身を投影していると言える。マデリーンそっくりにジュディを仕立てていく様は、女優を気に入ると、自分好みにしようと一方的にプレゼント責めにして普段のファッションまで変えさせようとしたという不器用な恋愛観のヒッチコックそのままではないか。
 僕はとにかく恋愛ものでは、切なくなるものが好きで、この映画はジェームズ・スチュワートとキム・ノヴァクがお互いに愛し合いながら、気持ちがどこか捩れの位置にあって重なることがなかった。そこが切ない。そしてラストでは二人ともハッピーにはならないのだ。切ない、せつない…。僕はこの映画を観てしまって、この切なさでしばらく立ち直れそうにない。それぐらいキム・ノヴァクは素敵だったし、映画も良かったのだ。
 
『めまい/Vertigo』
(1958年/アメリカ映画/128分)
製作:パラマウント・スタジオ
   アルフレッド・ヒッチコック
   ハーバート・コールマン
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:ピエール・ボワロー
   トーマス・ナルスジャック
脚本:アレック・コペル
   サミュエル・テイラー
撮影:ロバート・バークス
音楽:バーナード・ハーマン
出演:ジェームズ・スチュワート/キム・ノヴァク/バーバラ・ベル・ゲデス

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『チャーリーとチョコレート工場』

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遅ればせながら[高槻松竹/セントラル]で『チャーリーとチョコレート工場』を観てきました。めっちゃおもろかったです。予告編やテレビスポット、『めざましテレビ』なんかで紹介されて面白そうだなぁと思っていたんですが、なかなかタイミングが合わずにあきらめかけていたんです。でもなんとか最終日に間に合いました。
 今日は平日だったため劇場もヨメと二人で貸し切り状態。これは気分良かったです。パンフレットを買って前から三列目の真ん中に陣取りました。
 原作は子ども向けファンタジーのベストセラーだそうですが、映画全体の仕上がりは子どもには子どもなりに、大人には大人なりに楽しめる作りになっていました。とにかくファンタジーを描くための特撮技術は惜しげもなく投入されています。でもCGばかりでもなくて、特技が浮き足立ってもいなくて、とてもスムーズで良かったです。見た人の中には純粋なファンタジーを期待していってそうじゃなかったとがっかりしたような意見を言う人もいるようですが、僕は面白かったです。なんというか、全体に大阪ノリを貫いているんですね。
 主人公の貧乏人の息子、チャーリーが変に善人だとかすごい夢とか持ってるとか、逆に極端なコンプレックスを持っているとか生まれの事情が特殊だとか…ではなくて、気のいい平凡な少年というのもいいですね。
 そしてこの映画の一番いいところは、本当に観ている方が気分が悪くなるほどの嫌なヤツが出てこないところでしょう。
 この映画で気に入ったのは工場の主のウォンカもそうだけど、ウンパ・ルンパのおっさんと昔チョコレート工場で働いていたジョーおじいちゃん。
 ジョーおじいちゃんはいい味を出していました。チャーリーの家族は両親と両親の両親とチャーリーが同居するというちょっと変わった家。老人たちはけっこう仲良く、貧乏な暮らしもそう苦痛ではないようです。中でもジョーおじいちゃんがチャーリーを一番可愛がってくれる。そしておじいちゃんは昔ウォンカのチョコレート工場で実際に働いていたことがあるというのですが、しかしよく考えるとおじいちゃんが働いていたころのチョコレート工場はもっと工場工場してたと思うんですが、チャーリーたちが招待されたときには、不思議な世界の工場になっていました。
 チャーリーはあきらめていたゴールデン・チケットを手にすることができるんですが、それも家族のために権利をあきらめようとします。でも、四人の老人の一人で、いつも憎まれ口ばかりきくもう一人のおじいちゃんが言う一言でチャーリーはチョコレート工場に行くことを決心します。このへんもさらに泣かせますね。
 ウンパ・ルンパのおっさんは、なんでこのおっさんが?という感じで次々に登場する。みんなこのおっさん。区別つかないこの一族はいったい何者なのだろう。なんでちょっとサイズが小さいのか。でも全員がちょっとデブで同じ顔。でもなんか変に芸達者でおもろいなぁ。
 この映画の中には、音楽や映画のパロディもふんだんに入っています。ビートルズ風、クイーン風、そしてヒッチコックの『サイコ』をパロったり、『2001年宇宙の旅』なんかは、そのままをストーリーの一部に組み込んでしまうという念の入れようです。
 そうそう、この映画の中に出てくるエレベーターは上下だけではなくて左右斜めにも動くことができます。これ昔松本零士の『銀河鉄道999』でも出てきたんですね。怖いんですよ、上下だけじゃなく他のところに行くということは元に戻れなくなるんじゃないかっていう気がして。この映画では、なんか工場を飛び出してどこへでも行ける移動手段になっていましたけどね。
 いろいろな特徴を持った人物が出てきますが、それぞれに応じた運命に翻弄されていきます。少し無責任な雰囲気のウォンカの様子に不安にもなりますが、それでもえぐいことにはなりませんので安心ですね。
 ラストには原作にない展開が待っていますが、この辺のことはこれから観る人のために内緒にしておきましょう。
 大人も子どもも楽しめるファンタジー。リスの活躍も見逃さないでね(^ε^)。

『チャーリーとチョコレート工場/Charlie and The Chocolate Factory』
(2005年アメリカ/イギリス/115分)
監督:ティム・バートン
製作総指揮:マイケル・シーゲル
原作:ロアルド・ダール
脚本:ジョン・オーガスト
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、デヴィッド・ケリー、ヘレナ・ボナム=カーター、ノア・テイラー 他

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『汚名/Notorious』

▼今まで映画の感想は『ぎょぎょ〜む日誌』にちょこっと書いたりしていましたが、日記の中に書くとだらだらとそれだけが長くなるし、いっぱい書きたいときは、この『うずら眼』にまとめて書くことにしたいと思います。映画は好きですが、さりとて映画に詳しいわけではありません。ただ、僕は他の人とはちょっと違うささいなポイントを面白がったりする傾向があるらしく、それは映画のテーマからかなりずれた部分だったりするんですが、そういうのも映画の楽しみの一つかなと思います。さて『うずまきシネマ』というタイトルなんですが、これはミニコミ時代から使っている由緒正しきタイトルです(^ε^)。
notorious
何年かぶりでまた僕に今ヒッチコックブームがキテます(笑)。今回のこの『汚名』は、五〇〇円のシリーズで入手したDVDで観ました。水野晴郎の顔がド〜ンと付いているやつですね(笑)。

 だいたい僕はイングリット・バーグマンが好きなんですね。顔が好きなんでしょう、おそらく。美人だけど、ツンケンしたイメージがないところがいいのかな。あと太い首がけっこういいですね。ドイツ女性のしっかりした感じが出てて。最初にバーグマンを観たのは『ガス燈』でした。これもミステリーです。ヒッチコックが彼女に夢中になったというのもわかります。またヒッチコックは好きになった女優をいつも窮地に陥れるんですね。

 あらすじは、父親がドイツのスパイで、でもその娘のバーグマンはアメリカに愛国心を持っている。父は逮捕され裁判で有罪になり、それで傷心の彼女にアメリカの諜報機関が目を付け、ケーリー・グラントを通じて彼女にドイツ人実業家の素行を潜入調査させようとする。ケーリー・グラントとバーグマンは接触するうち恋に落ちてしまう。バーグマンが潜入する家は父の友人で、以前彼女に好意を寄せていた男。やがてその実業家に求婚される。ケーリー・グラントが仕事を断ってくれると期待したバーグマンだったが…、というような感じです。
 父の有罪判決の後、けっこう荒れた生活をしているバーグマン。酔っぱらいで強がりを言っているんですが、なんかかわいいんです。

 伝説の長時間キスシーンはとてもいいです。当時は「キス・シーンは三秒まで」という規定があったので、それを逆手にとって三秒のキスを連続させたというのはにくいです。単純に長いだけでなく、その小刻みなリズムが、さらにラブラブ感を高めているんです。

 ケーリー・グラントは、ヒッチコック映画ではお馴染みで、ヒッチコック監督の分身の一人と言われていますね。もう一人は、ジェームズ・スチュワートですね。今回は多少煮え切らない男の役ですが、彼の気持ちもよくわかるような気がします。でも最後は気づいて助けに行きますもんね。

 モノクロ映画なので、当時流行っていたスクリーンプロセスという合成手法もあまり違和感がないですね。後にカラーになると違和感が目立ってきますけど。ようするにスタジオセットの乗り物の背景を映写した映像にして一挙にカメラで撮ってしまうという方法がスクリーンプロセスですね。ヒッチコック映画では、クルマを運転するシーンを正面から捉えたようなショット、乗り物の中、屋外のアップシーン等はほとんどスタジオ撮りでスクリーンプロセスを使っています。こんなのわざわざスタジオにセットまで組んでスクリーンプロセスにするの?というシーンまでそうだったりします。

 スターを長時間ロケに引っ張り回すわけには行かなかったのか、天気待ちが嫌いだったのか。その辺の事情は僕にはわかりませんが。

 この映画、イングリット・バーグマンに心を奪われて、ヒッチコック探しをするのを忘れていました。どこに出ていたかご存じの方は、メールでこっそり教えてください。どうせまた観ても、またバーグマンばかりに夢中になりそうなので(笑)。

 僕の観たDVDではラストはドイツ人実業家が家の中に入っていくシーンで終わっています。この後、ENDマークも、ロールクレジットもなかったんですが、これで終わりなんでしょうか。ひょっとして五〇〇円だから何分か最後カットされてたりして(笑)。
『汚名/Notorious』(1946年アメリカ)
製作:RKOスタジオ/アルフレッド・ヒッチコック/バーバラ・キオン
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原案:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:ベン・ヘクト
撮影:テッド・テツラフ
音楽:ロイ・ウェブ
出演:ケーリー・グラント/イングリッド・バーグマン/クロード・レインズ ほか

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