伊丹十三著『ヨーロッパ退屈日記』
▲伊丹十三著『ヨーロッパ退屈日記』この本、今までに何度読んだだろう。そして何度買ったろう? 文春文庫のは1988年の重版のもので骨董的価値はないのだが、最初に読んだのはこれ。内容は同じだが新潮文庫に移って出たのでまた買ってしまった。新潮文庫の方のカバーの手ざわりが良かったからである。それと中面の活字が変わった。文春は優しい明朝体。新潮は張りのあるキリッとした明朝体。コンテンツが興味深くてモノとしても自分好みというのは本の評価として僕の場合重要である。
同じ新潮文庫のがもう1冊ある。これは普段気軽に持ち歩き用。今日読みたい本がなかなか決められない時、この本を持って行けば間違いない。日常でもふと開いて2、3行読むということも頻繁だ。
写真には写ってないが、この前に実は新潮文庫版を1冊、そしてのちにもう1冊買った。合計5冊か(笑) 今自宅にあるのは写真の3冊だけ。他のは1冊は東京に住んでる上の娘タマゴが帰阪してまた東京に戻るとき「何か面白い本ない? 新幹線の中で読みたい」と言うのでこれを持たせた。残りは会社の引き出しに1冊入ってる。
なぜそんなにこの本が好きなのか。まず何年経っても色褪せない粋な外国文化のコラムであるということ。そしてその内容が、低レベルな下世話な話からハイソサエティな話まで多岐にわたっていること。その語り口調というか硬軟速遅を組み合わせた臨場感ある文体。そして時に細密だったり、ユーモアたっぷりだったり、いろんな技を繰り出して添えられている挿し絵。これが絶妙なのである。これらの原画は愛媛の[伊丹十三記念館]で見たなぁ。
とにかくそういうことで、いつも手元に置いてちょこちょこと読んでいる。僕の気持ち切り替えスイッチだったり、ヒントのキッカケだったり、和みだったり、万能薬のような本なのだ。
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