うずまきシネマ「0&1」中田圭監督作品
▲中田圭監督の映画『0&1』を観た。2001年だからもう15年前の作品になる。でも感覚的な古さは感じられない。
中田監督は東京の夜をずっと撮ってる。これがいつも思うのだけど無理がなく、ほんとに自分の隣にすぐある世界に思える。生々しい空気。そして、全体に流れるけだるさとやるせなさが切ない。
殺し屋として育てられた若者の男女。出会ってはいけない男女が出会ってしまう。飼い犬同士の接触は掟破りなのだ。そして二人は組織に追われる身となる。
モチーフとしてはよくあるのだが、それをリアルな東京で、そして直球ではない変化球の言葉少ない台詞で紡いでいく。ざらりとした画面の効果が一層それを盛り上げる。
主役「0」役の石川絵里はずっと孤独を感じているので寂しく、そして厳しい表情ばかりなのだが、1シーンだけ笑うところがあって、これがなかなかチャーミングなのだ。
主役のもう一人「1」を演じる加藤隆之は母は黒澤明監督の娘さん、そして祖父は名優 加東大介なのだそうだ。雰囲気が香港の俳優・監督の周星馳(チャウ・シンチー)に似ている。
大物ゲストとして、夏八木勲とジョー山中が出演している。お二人とも鬼籍に入ってしまわれたのがとても残念だ。この二人の登場シーンで、作品世界の厚みがぐっと増す。主人公たちとの絡みが少ないのが残念。「0」と夏八木さんの会話とか欲しかったなぁ。
夏八木さんとジョーさんの登場はアクション映画でおなじみの横浜 神奈川区千若町のバー「POLE STAR」というのがにくい!
ストーリーは、無理なひねりや、ビックリさせるためだけのどんでん返しはなく、淡々と流れていく。ラストのガンアクションは特に音がリアルでこのあたりは日本映画にありがちな軽さはない。むしろ香港のノワール映画っぽい。監督自身も追う者の一人として登場。ヒッチコックよりも長くハッキリ写ってる(笑)
本編の他にDVDには特典映像があって、ラストシーンの別テイクが入っていた。こちらは少し救われる内容で僕としてはコチラの方が好みだけど、映画としては本編でのラストが良いと思った。
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2002正式出品作品
水野晴郎的超特急 新鋭監督映画祭参加作品
秋田シネマフェスティバル参加作品
2001年/日本語/73分/ノマッズ・エンターテイメント提供
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