« 4年ぶり!『鬼平犯科帳』 | Main | OM-4と初めての散歩 »

XA/心ゆさぶる小さなヤツ

XA職人技で時代小説を描き続けた作家、池波正太郎。鬼平がらみで、今夜はカメラの話を書きましょう。

 1960年代〜1970年代、日本のカメラはハーフブームでした。オリンパスペンをはじめとして各社がハーフカメラを発売し、一世を風靡しました。そんな中海外のカメラメーカーも起死回生の一発を! ローライが35mmフルサイズでハーフカメラよりも小さなカメラを作りました。それがRollei35。これには日本のカメラメーカーも衝撃を受けます。
 そしてハーフブームの火付け役だったオリンパスのカメラ設計者である米谷美久さんは次なるカメラを考案しました。すでにあるものと同じものは作らない。それが米谷さんのポリシー。さすが「日本のオスカー・バルナック」と呼ばれるだけの人です。オリンパスペンで、オリンパスOM-1で、独創的なセンスを見せた人は35mmフルサイズコンパクトカメラでも、また世間をあっと言わせるカメラを作りました。それがオリンパスXAです。

 レンズキャップやカメラケース不要のスライド式レンズバリア。この小さなボディに二重像合致式ピント合わせを組み込み、電子シャッターの絞り優先AE。+1.5の逆光補正とフィルム感度設定レバーで露出補正ができるというのはOM-2譲り。小粒でも常にプロのサブカメラとして使えるというのが米谷さんの作るカメラです。それぞれの操作部の配置も、操作がしやすいことを優先して配置してあり、サイズを小さくすることで使いにくくなることがないように、一つのパーツにもいろいろな働きを持たせ、それが実に自然な流れで使えるように考え抜かれている。

 そんな設計者のマイスター魂が生んだカメラを愛用する職人技の小説家。ピタリとはまりすぎなぐらいピッタリですね。
 XAは準広角の35mmレンズでしたが、XAシリーズの最終機であるXA-4は広角レンズの28mmを採用しています。なんでも著名な作家がXAを愛用していて、もっと広角のレンズだったらいいのに、と言ったことがきっかけになっているという話を聞いたことがあります。著名な作家って、ひょっとして池波さんでは?というのは考えすぎでしょうか。

 僕のXAの写真と一緒に写っている本は、『新潮日本文学アルバム 池波正太郎』(新潮社刊)。XAを持っているのは池波正太郎さん。浅草ですね。あ、この写真、田沼武能さんが撮ってる!

 XAについては他にも、写真嫌いのサミー・デイビス・Jr.をある記者がXAで隠し撮りしてたら、サミーはカメラだと全然気づかなかった。でもしまいには気が付いて、記者も怒られると覚悟したけど、サミーはXAを気に入り、
「おれにそのカメラをよこせ」
 といって、XAをもらってご機嫌だったというのです。写真嫌いの人を面白がらせてしまうカメラというのがいいなぁ。

|

« 4年ぶり!『鬼平犯科帳』 | Main | OM-4と初めての散歩 »

Comments

ああ、XAの事が良く分かる。
明るいレンズに距離計つき。シャタースピードがファインダーを覗いていて判る設計。
どうして今のコンパクトカメラはこんな事をケチるのでしょう。

Posted by: YANBO | February 11, 2005 11:25 PM

▼YANBOさん

 世間一般的には、写ればよくて、シャッタースピードがなんぼやったかとか、自分でピント合わせとかそんなのはどうでもいいんでしょうね。そんなこと知りたい人はそれなりのカメラを使えってことでしょう。

Posted by: うずらまん | February 12, 2005 02:37 PM

▼うずらまんさん

シャッター速度計なんて、コスト的にはいくらもしないと思うんですけどね。
針が黄色のところに来ると「手ぶれに注意」なんて事にすると、親切設計になると思うんですけど。

今のデジカメはファインダーの中が液晶なので、覗いているとどこにピントが合っているか判っていいですよね。あれはいいわ。

Posted by: YANBO | February 13, 2005 02:22 AM

▼YANBOさん
 シャッター速度表示をコンパクトカメラに付けるというのは、やっぱり設計者のこだわりでしょうね。米谷さんの場合、普及機は普及機なりに、妥協ではなくそぎ落としで意味のある省略やコストダウンになっているので、モノの魅力があるんだと思います。
 デジカメ、シャッタースピードの表示とか出るのありますよね。あれは便利です。1/60だから脇締めて構えようとかって思いますもん(^ε^;)。

Posted by: うずらまん | February 15, 2005 10:55 AM

むだ話です。

スイスのワインは、ほとんど白で、しかも、産出量は、消費の半分で、あとは輸入にたよっています。

ながで、赤ワインの絶品(?)がありましてね、銘柄名が〔やまうずらの瞳(め)〕です。
失礼つかまつりました。

Posted by: ちゅうすけ | February 15, 2005 11:56 AM

XA系で撮影した写真って、何故だかすぐに判りますよね。
以前、写真機屋さんに勤務していた頃、お客さんのDPEの仕上がりチェックで9割方のXA系写真を当てた記憶があります。
「お使いのカメラ、XAですか??」
「あ、はい。XA-2です。」
「でしょ!」

あの周辺光量の劇的な落ち込み方は芸術的でさえありますから。
ああ、個性的なXA系、欲しい・・・。

Posted by: 39'ers | February 15, 2005 09:34 PM

▼ちゅうすけさん
 そうなのです。うずちゃんの瞳はつぶらでちょっぴり涼しいのです。←ホンマカ?

Posted by: うずらまん | February 16, 2005 09:46 AM

▼39'ersさん
 XAシリーズで撮ったのってわかるんですか! 最近はちょっと難しいかもしれないですね。LOMO LC-Aも周辺光量落ちが大きいカメラですから。よく考えるとXA-2とLOMOって大体同等レベルの機能ですね。XA-2にはセルフタイマーがあるけど、フィルム感度設定で補正できるとかゾーンフォーカスとかパカッパチリッとか。

Posted by: うずらまん | February 16, 2005 09:50 AM

ジョリジョリ巻き上げるXA,指先をコソッと使ってピント合わせするXA,ストロボの充電表示灯が大きくて可愛いXA,触れるだけで切れるXA,勢い良く巻き戻しにくいXA,でも自分で散歩カメラに買ったのはキヤノンMC。だって格好良かったんだもん・・・。買っとけば良かったな、XA。

Posted by: 39'ers | February 19, 2005 12:08 AM

▼39'ersさん
 実は僕もMCを買いました。最初の給料で買ったカメラがMCです。当時友人がXA-3を持ってたんで、同じになるのが嫌だったんです。XA-3とMCを比べたら、ほぼ互角ですよね。MCは三脚穴がないけど。なんかオプションでセルフタイマー用の補助治具を売っていましたね。これは買わなかったけど。
 MCではブツ撮りができなかったので、数年後にXA-4を買いました。XAはずぅ〜っとあとです。

Posted by: うずらまん | February 26, 2005 12:57 AM

ははは、MC持ってたんですね、uzuramanさん。
結局私のMCは電池液漏れ(単4アルカリだったから結構悲惨)で修理不能、京セラslim=Tになりました。(コレも現在隠居中)
AFの至近距離性能とT*に惚れました。でも、本当はTC-1を散歩カメラにしたいんだなぁ・・・。

暫らくはAPSのライカC11が私の散歩相手です。

Posted by: 39'ers | February 26, 2005 01:40 AM

▼39'ersさん
 そうですね、TC-1をお供にしたいですね〜。僕のMCはタイムカプセル状態になっています。何年かに一度思い出して写真を撮るので、フィルムが何年も入りっぱなし。で現像してみると子どもの成長ぶりが1本に凝縮された写真になっていたりして笑えます。ファインダに黴びが来ているのと、デートの設定のところの液晶がおかしくなって黒いのが漏れてたりしますが、カメラとしてはまだ使えています。シャッター切ったときのバチンというバネ音と巻き上げが煩いのはオートボーイ譲りで、そこが使いにくい点でもありますが、結構好きだったり(^ε^;)。電池電動カメラでロモっぽく気軽に使えるというカメラだと思えば性能的にはできすぎだけどまだまだ遊べるカメラではあります。

Posted by: うずらまん | February 27, 2005 11:29 AM

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference XA/心ゆさぶる小さなヤツ:

« 4年ぶり!『鬼平犯科帳』 | Main | OM-4と初めての散歩 »